「私の質問」
昨日のことを、頭の中で色々と思い出してみる。私の質問は、私だけのものではない。スクールセクハラで傷ついた人たちを支援しようと、がんばってきた若い人たち、警官(上司)の異様な付きまとい行為に悩んで自殺された女子警官のご家族の想い、障害児教育の大転換期を迎えて、ご自身の障害のあるお子さんをはじめとした、すべての障害児教育の改善のために活動しておられる人々、中島町や惣川での地域医療のことで不安を抱えておられるあの人、この人、そして、肱川流域で自然と人とのくらしを壊す無駄な山鳥坂ダムに反対して学習と活動をしておられる方々。昨夜遅くまで、国の河川整備計画について細部までレクチャーして下さった方々。具体的な原稿づくりに協力してくださった方々。
私の質問は、こんなに大勢の人々の存在によって作られた。「私の質問」でありながら、「私の質問ではない」のだ。関わってくださった多くの人々のお顔を一人一人思い出しながら、「今日は落ち着いてやるぞ」と決心して、議場に向かった。
答弁
官僚的で心のこもらない、なんてつまらない答弁ばかりだろう。今まで、「特殊教育」といわれてきた障害児教育は、「特別支援教育」と名を変えて、どんなイメージのものになるのかについては、少しわかった。実際の問題は、今後出てくるだろうけど。
中島町立病院は、「民営化も視野」に入れて」というもので、それは気になるが、とにかく前向き検討の答弁だったといえるかもしれない。(役人言葉にはウラがあるので、後々までわからないことが多いのだ) 思っていたとおり、問題は、「山鳥坂ダム」と「セクハラ」だ。山鳥坂ダム問題で、ダムをつくるか造らないかの分岐点となるのは、「基本高水」(100年に一回の洪水の時、どれだけの水の量がピーク時にでるかの予測値)の数値だ。
国が昨年決定した、「基本整備計画」は、ねつ造された数字に基づくものではないか。つまり、昭和20年洪水の時の時間降雨の測定値から割り出したものであるが、実はその値は、肱川流域のものではなく、1000m級の山を越えて60kmも離れた四万十川流域の高知県大正町のものであった。しかも、このことは、昨年まで住民に隠されていたのだ。
この件に関して、土木部長は、あまりにも簡単に認めてしまった。そして、「当時は、肱川流域で測定していなかったために、『近傍の町』のものを使った」と「平気で」か「仕方なしに」かわからないけど答えたのであった。
また、有識者を集めて開催されている流域委員会は、「そのとりまとめを行わない」ことも認めた。とりまとめは、「河川設置者」つまり国であるというのだ。これでは余りにもおそまつ。反対派住民や2つの漁協を排除して行われている流域委員会の委員は、国が作った「事務局案」を追認しつつ、いくらかの意見を述べただけ。「とりまとめ」が行わなければ、彼らの責任も問えないことになる。何という無責任。これを「税金ドロボウ」といわずに何というのだろう。
国は、「山鳥坂ダムを作る」という大前提のために、流域委員会を利用しているだけなのだ。「とりまとめ」も「提言」も行わないのなら、税金を使って仰々しい会をなぜ開いているのか。それは、「ダム造り」におすみつきを与えるためである。こんなことがまかり通っていいのだろうか。
私の2つの指摘を国交省からきた土木部長が認めてしまって、アッケラカンと答えたので。まったく拍子抜けしてしまった。これは、再質問で追求しよう!と即考えた。
ナーニ言ってんだろ?
野本教育長は、答弁に立って、私が指摘した15年前からの助教諭のワイセツ行為について、「確認されていない」「今回在校生へのワイセツ行為以上の解明はされていない」「以前の被害を申し出た人には説明をしてきた」などと、でたらめを絵に書いたような不誠実な答弁を繰り返した。
また、県警本部長は、私のスクールセクハラについてのすべての質問に対して、「同様の相談はあったが、同一案件であるかどうか判断するのは困難。プライバシーに関わることであって、答弁は控えたい」と、まるで「オウム」のように繰り返した。
私は、再質問の時間に言おうと思っていた3本の再質だけでは足りないと思い、急遽山鳥坂ダム問題も入れて、8本の再質問を申し出た(再質問をする前に、 ○番の<1>とか<2>とか、通告しなければならない決まりである)。今考えると、この時の判断は冷静に行われていなかった。残り時間7分(と表示されていた)で、全てができるはずがなかったからだ。いや、でも、やろうと思って登壇したのだった。
しかし、後でわかったのは、7分残っていようと、再質問再々質問は5分以内と決まっていたという。何とケチくさいんだろう。議会は自らのチェック機能を放棄するためにルールを作っているのか!?
説教
再質問に立った私の口から、自然に出た言葉は、「私は、教育長や、県警本部長の誠意のないご答弁を聞いて、ほんとうに悲しいです。子どもたちの問題行動が言われますが、あなた方の中にこそ、闇が広がっているのではないですか。(質問したセクハラのことは)多くの高校生や若い人たちが知っていることです。その人たちに対して(このような大人社会があることを知らせることになって)恥ずかしいです」という意味のことを言った。
議場からは激しいヤジ。「質問になっとらんぞ」「時間がないぞ」「ちゃんと質問をヤレ!」―――そうだ!ここでこの人たちに説教をしているヒマはなかった。「質問しなきゃあ!」
そして言った。「教育長は(昨年8月委員会で)セクハラ教師が1人もいないとは言っていないと言われましたが(処分が続出しているのが事実なのに)、そして、会議録にも『それほどのセクハラは・・・』と確かに書いていますが、会議録は間違っていると思います。前もって、委員会を傍聴した2人に確かめて証言をしてもらっています」と言ったのである。
委員会で確かに委員長は、「セクハラ教師はいない!」と断言して、私が提案したアンケート調査は「しない」と続けたのだ。
議場からは、「ねつ造というんか!」「ナントカだ!」「カントカだ!」「ケシカラン!」など、いちいち聞き取れないくらいのヤジが浴びせられる。
ハッと我に返る。まだ再質問の事項が残っている。次にいかなくちゃ。
「教育委員会はなぜ女性の人権に配慮がないのかと考えてみますと、女性の登用が遅れているのです。被害を受けた人たちは、教育委員会の中でも女性職員には、共感をしてもらえたと言っています。しかし今、県教委の管理職48人の中に、女性はたった1人です。女性の登用を進めることで・・・」
ちょっと変?
議場のヤジが激しくなり、しきりに「時間だ」「時間だ」と騒がしいので、目の前のランプのついた表示を見ると、「あと3分」とある。そこで続けようとすると、議長が、「阿部議員、時間です。やめなさい」と制止されたのであった。
「ナンデカナー?」と思ったけれど、中断した。結局ヤリマスと通告した質問の半分を残してしまっている。そこで最後に言った。「未熟な再質問ですみませんでした」。議場からは、「反省せーい!」とのヤジ。
廊下で、議会事務局の職員から注意があった。
「阿部議員、例え7分余っていても、再質問時間は5分と決まっていますので」私「そうでしたか。すみませんでした」。
・・・しかし、議会の方も、表示方法を変えたらどうだろうか。あと2分と表示しているけれど、ほんとは終わりなんです、って、ちょっと変じゃない?
涙が止まらなかった私
再質問が終わって席に帰ったら、とめどなく涙が出てきた。通告どおり全部の質問ができなかったこと、性被害を受けて苦しんできた人に聞いてもらえるような答弁を引き出すことができなかったこと、不誠実な答弁に対する怒り、議場からのヤジの挑発に乗ってしまったこと、それらの全てが悲しかったのだ。
私の一般質問後はお昼の時間で、傍聴に来てくださった方々が、部屋に訪ねて来てくださった。みんなの顔をみると、またまた涙涙。
「ごめんなさい。ちゃんと追及できなかった」と私。「悪いのは阿部さんじゃないよ。あの人たちよ」「あそこにいる人たちみんなが、エンデの『モモ』に出てくる『時間どろぼう』に見えました」と、初めて傍聴してくださった若い女性が言われた。
何を聞いても、私は涙が止まらない。昼食も、珍しくノドを通らない。すぐにブザーが鳴って、午後の本会議が始まった。(明日に続く)